最近、マダニを通じて感染する新しい病気、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で死亡した症例が増えてきています。
「明るい色の服」「帰宅後の入浴」も有効
今回のSFTSのケースでは、「草むらなどダニが生息する場所に入る場合は長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、なるべく肌を露出しないようにする」ことが予防策とされています。
SFTSウィルスを媒介するマダニ類は、特定の地域ではなく広い地域に存在しています。
家にいるダニと違って硬い皮に覆われており、日本にいる種は体長2〜4ミリ程度、体重の100倍もの血液をゆっくりと吸うため、一度人間や動物の皮膚にくっつくと数日〜数週間は離れません。
日本では最近、マダニによる刺咬傷(動物や昆虫などに刺されたり、かまれたりしてできる傷)が、アウトドアレジャーの普及や高齢化に伴う農耕地の荒廃などによって増えていると言われています。
一般的に考えられているのと違い、マダニはビョンビョン飛び跳ねるのではなく、草むらなどで人間や動物が通り過ぎるときに、服や皮膚にピタッとくっつき、吸血できる場所を探し回る性質があります。
そのため…
- 背の高い草や木が密集している所に入らない。
- 道の端ではなく真ん中を歩く。
- ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れ込む。
など、注意することが必要です。
他には、くっついたダニを発見しやすいように明るい色、あるいはくっつきにくいよう布目が細かく表面が滑らかな素材の衣服を着用することも有効です。
また、屋外での活動中や帰宅後に…
- 自分や同行者、ペット、道具屋カバン類にもダニがついてないかをチェックする。
- 帰宅後2時間以内にシャワーを浴びたり、入浴したりする。
- 鏡を使って髪の毛を含む全身をチェックする。
- 衣類を高温乾燥する。
ことなども重要です。
特に乳幼児や高齢者では髪の毛や頭にくっつくことが多く、子供では脇の下や耳、へそ、ヒザの裏側、お腹などをよく調べて下さい。
自分で取り除くとマダニの頭部が残ることも
ダニがウイルスを媒介するには数時間かかるため、早く除去するほど感染症リスクを抑えることができます。
ただし、自分で除去するときはピンセットを使うこと、もしくは手袋などで指を保護し除去すること、ダニを潰さないようにすることが大切です。
また、無理に引き抜くとマダニの頭部などが体内に残ることがあります。そうなると、ウィルスに感染する可能性も残ってしまいます。
ダニに刺された場合は速やかに医療機関を受信し、専門家による指導を受けて下さい。